動物病院アニマルプラス
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甲状腺機能低下症

動物の種類
年齢 14歳
診療科目
症状 ①歳のせいか元気がなくなった
②あまり食べさせてないのに太ってきた
③たまにプルプル震えることがある。

症状概要

甲状腺機能低下症とは


甲状腺とは、喉の左右に一つずつある小さな臓器であり、体内の「代謝を活性化させる」甲状腺ホルモンを分泌しています。
それなしでは体の機能を正常に働かすことができないため、甲状腺は生命維持装置として重要な役割を果たしています。
その甲状腺が機能不全に陥り、全身の代謝が低下してしまった状態のことを「甲状腺機能低下症」と言います。

原因


ほとんどが甲状腺自体の破壊による原発性甲状腺機能低下症であり、
・自身の抗体が甲状腺を破壊してしまう「リンパ球性甲状腺炎」
・原因不明の「特発性甲状腺萎縮」
などが一般的に言われていますが、その他にも、甲状腺の非機能性腫瘍による正常な甲状腺細胞の破壊や
先天性のものなどがあります。
また、まれに下垂体や視床下部の異常(腫瘍、外傷)による続発性甲状腺機能低下症もみられることがある。

代表的な症状


・活動性の低下
・あまり食べてないのに太る
・脱毛などの皮膚症状
・寒さに弱くなる
・神経症状

診断


甲状腺ホルモンの欠乏を証明する。
血中サイロキシン(T4)および遊離サイロキシン(fT4)の低値が証明できればいいが、犬ではfT4が特異度に優れている。
原発性甲状腺機能低下症では血中甲状腺刺激ホルモン(TSH)が上昇していれば、より疾患の可能性が高くなる。
また、甲状腺機能低下症では以下の様な血液検査の異常を認めることが多い。

・軽度の非再生貧血
・コレステロール上昇
・中性脂肪上昇


他にも甲状腺に特異的なタンパクであるサイログロブリンに対する自己抗体(TgAA)や
超音波検査による甲状腺の異常(萎縮、エコー源性の異常)の検出も診断に役立つ。


本症例も「活動性の低下」「食べてないのに太る」などの臨床症状に加えて
甲状腺機能低下症における特徴的な血液異常、そしてT4、fT4の低値を認めたことから
甲状腺機能低下症と診断した。

治療方法

甲状腺機能低下症の治療は甲状腺ホルモンの補充によって行う。
ホルモン補充剤を投与することで、欠乏していた甲状腺ホルモンが補充され、臨床症状の改善が期待できます。
原発性甲状腺機能低下症は適切に診断、治療が行われれば予後は良好である。

甲状腺機能低下症の治療で大事なことは、ホルモン補充剤を
「一生飲まなければならない」ということです。

破壊された甲状腺はもうホルモンを出すことはできません。
それを生涯に渡って補充してあげるイメージですね。

最後に

甲状腺機能低下症は、症状としてわかりづらいことから、気づかずに放置されているケースが多々あります。

「最近、齢のせいか元気がないように感じる」
「歳のせいかなんか調子が悪そう」
「体の毛が薄くなっている」

などの症状がある場合、年齢のせいかと諦める前に、
是非、獣医師に相談してくださいね。