アニマルプラスの特別なメディカルケア
免疫介在性血小板減少症
動物の種類 | 犬 |
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年齢 | 5歳 |
診療科目 | |
症状 | お腹に赤い斑点がプツプツある 食欲元気はあり、体調は良い |
症状概要
腹部に点状出血および紫斑が認められました。止血異常の可能性を疑い血液検査をしたところ、血小板数が4000 /μl と低下していました。凝固系検査を含め、その他の検査は異常ありませんでした。飼い主様からお伺いした臨床経過や投薬歴から、続発性の血小板減少症の可能性は否定的であったため、原発性の免疫介在性血小板減少症を疑いました。入院にてステロイドと免疫抑制剤による治療を開始したところ、良好に反応がみられ、入院4日目には血小板数が30万 /μlにまで増加したため退院となりました。その後も再発はなく、経過は良好であったため、投薬量を少しずつ漸減しているところです。
治療方法
免疫介在性血小板減少症は主に抗体を介した免疫介在性の機序による血小板の破壊により血小板減少をもたらす疾患です。血小板に対する自己抗体の産生が原因となる原発性の他、炎症性疾患や腫瘍性疾患などの基礎疾患の存在、薬剤の投与などが原因となる続発性があります。一般的に認められる症状としては、点状出血や紫斑、鼻出血、血便および血尿などの出血傾向が挙げられますが、血液検査にて偶然に発見されることもあります。治療はステロイドや免疫抑制剤を用いた免疫抑制療法を行う他、外傷による出血を防ぐためのケージレスト(安静)が重要となります。すみやかに治療を開始したとしても、出血コントロールが困難で命に関わる場合もあります。また、経過が良好であったとしても再発する場合もあるため、慎重に経過をみていきます。