動物病院アニマルプラス
完全予約制 / 土日祝も診察
  • 診療時間
    月~土   9:00〜12:00/16:30〜19:30
    水・日・祝 9:00〜17:00
  • 休診日
    年末年始
  • 往診・手術
    13:30〜16:30

肺高血圧症

動物の種類
年齢 15歳
診療科目
症状 失神、咳

症状概要

数年前より僧帽弁閉鎖不全症のため治療。徐々に進行が見られていたため状態に応じて血管拡張剤、利尿剤、強心剤等の内服薬を追加してコントロールをしていた。 元気の消失と数秒間失神が見られたため、検査を行ったところ、心エコー検査にて心室中隔の扁平化などといった肺高血圧症を疑う所見が見られた。

治療方法

左心不全からの肺高血圧症を考慮して、左心不全の治療の強化(ジゴキシンの追加)とベラプロストNaを追加したところ、症状が改善。画像上でも一時改善が見られていたが、1ヶ月後にやや活発さが低下したため再度検査を実施したところ心室中隔の扁平化が当初よも顕著に見られたため、ベラプロストNaをシルディナフィルに変更。 その後、エコー検査にて改善が見られ、症状も安定、そのまま1ヶ月半ほどは維持できたが、再び状態が悪化(なんとなく様子が変な気がするとの主訴)。 検査にて肺高血圧症の悪化と不整脈が確認されたため、シルディナフィルを増量したところ不整脈が改善し状態も安定、現在まで良好に状態が維持できています。

治療・術後経過

肺高血圧症は、肺動脈圧の上昇が、さまざまな疾患の結果として起こる病態のことで、①肺動脈性 ②左心不全に伴うもの ③肺疾患に伴うもの ④慢性血栓塞栓症などに分類されます。 動物では、エコー検査にて肺高血圧症を診断しますが、分類を確定することは難しいです。既往歴や持病などから原因を判断していきます。 今回奏功した肺血管拡張薬(ベラプロストNaやシルディナフィル)は、肺高血圧症の治療に使用されますが、左心不全に伴う肺高血圧症の場合は、肺水腫リスクが増大するので慎重な使用が必要です。 本症例では、何度か状態の悪化を繰り返してきましたが、治療が奏功し状態を維持できています。 心疾患は症状が表向きに出ない又は軽度ことが多く、症状がでたときには緊急的な状況のことが多い疾患です。心疾患の発見には定期健診をおすすめします。