動物病院アニマルプラス
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発作重積


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動物の種類
年齢 16歳
診療科目

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症状 12時間ほど痙攣発作が続いている

症状概要

夜中の間、強弱はあるものの全身の痙攣がずっと続いているとのことで来院されました。1ヶ月ほど前にも痙攣発作があったそうですが、その後は落ち着いていたので経過観察されていました。

治療方法

来院時も全身の痙攣が認められ、体温は40.3度の状態でした。直ちに血管を確保し、採血と抗てんかん薬であるジアゼパムの静脈投与を行なったところ、発作は治まりました。血液検査においては、長時間の発作重積による結果であると思われる低血糖が認められたため、ブドウ糖液の静脈投与も行いました。血糖値以外の項目においては、発作の原因となるような異常は認められませんでした。抗てんかん薬であるフェノバルビタールも投与し、静脈点滴を行いながら入院下にて経過をみましたが、発作は良好にコントロールされており、血糖値も正常値で維持されていました。2日後には水の嚥下も可能な状態となったため、抗てんかん薬も経口投与に切り替えました。

治療・術後経過

てんかん発作は、症候性てんかんと特発性てんかんに分けられます。症候性てんかんとは、脳に何らかの器質的な異常が認められることによりてんかん発作が生じるものであり、脳腫瘍や脳炎、脳奇形などがMRI検査や脳脊髄液検査で異常が明らかになります。特発性てんかんとは、臨床病理学的な検査では異常が認められないてんかんであり、遺伝性てんかんや原因不明の特発性てんかんに分けられます。したがって、鑑別にはMRI検査や脳脊髄液検査が必要となりますが、鎮静・麻酔を要することが一般的であるため、実際には診断がついていない状態で治療をスタートすることも多いです。 また、本症例のように、長時間(現実的には5分間以上)継続した全身性痙攣発作、あるいは複数回の痙攣発作が断続的に発生することによりその間に意識の回復が認められない場合を発作重積といい、緊急性が高い状態です。長時間の発作によって脳が不可逆的なダメージを受けてしまう恐れがあるため、原因疾患の特定に先立ち治療を開始し、迅速に発作を止める必要があります。本症例は抗てんかん薬の静脈投与により発作が止まった後は、経口投与に切り替えても比較的落ち着いた状態でコントロールできていますが、今後も慎重に経過をみていきたいと思います。