アニマルプラスの特別なメディカルケア
副腎皮質機能低下症
動物の種類 | トイプードル |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | |
症状 | 急に立てなくなり、倒れて動けない。 |
症状概要
病院にくるのは3年ぶりで、急な虚脱を主訴に来院。問診したところ、最近元気がなくだんだん痩せてきていたとのこと。 来院した際、意識はあるが循環が悪く、すぐに留置を取って点滴を始めるのと同時に血液検査を実施。 採血の結果、重度の低血糖と高カリウム血症、尿素窒素の上昇が認められた。
治療方法
まずは、循環を戻し、電解質補正、状態の安定のため入院による点滴治療と低血糖の改善のため糖の注射を行った。 低血糖が改善されると虚脱状態から立ち上がることができるようになった。 低血糖を起こす原因に、インスリノーマ、肝不全、副腎皮質機能低下症、敗血症、下垂体機能不全などが考えられ、可能性をできるだけ除外していくために必要な検査を行った。 超音波検査で副腎の大きさが小さく、副腎機能を測るためのACTH刺激試験を実施したところ、基準値よりもかなり低値を示したため、副腎皮質機能低下症と診断した。
治療・術後経過
副腎皮質機能低下症はアジソン病とも呼ばれ、副腎の破壊に伴ってホルモン分泌不全が起こり、それに伴う症状が出るものである。ただ、この病気に特異的な症状が多くなく、診断も難しい場合がある。 今回の症例では急激なホルモン低下により、循環不全におちいるアジソングリーゼと呼ばれる状態にあり、治療が遅れることで命を落とすこともある。 本症例ではアジソングリーゼの状態であったが、その状態から脱したので通院治療に切り替え、副腎皮質ホルモン製剤の内服投与と通院での皮下点滴を続けていくことになった。