アニマルプラスの特別なメディカルケア
糖尿病
動物の種類 | 犬 |
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年齢 | 11歳 |
診療科目 | |
症状 | 最近水をよく飲むようになった。 尿の量も増えているかもしれない。 体調は良好である。 |
症状概要
多飲多尿の原因の精査のため、まずは血液検査およびを実施しました。空腹時の血糖値が274 mg/dl(正常範囲75~128 mg/dl)と高値を示しました。その他の項目については、大きな異常は認められませんでした。尿検査においては、尿糖が検出されました。以上より、糖尿病と診断し、糖化アルブミン(過去2週間程度における血糖値の平均の指標)を測定したところ、高値を示しました。糖尿病の基礎疾患の有無を評価するために画像検査を実施しましたが、異常は認められませんでした。
治療方法
インスリン投与量を決定するにあたって、連日半日入院でインスリン投与後の血糖値の変動を調べました。インスリンの投与量が決まったあとは、自宅でのインスリン注射を開始しました。血糖値が安定するのに伴って、飲水量も徐々に減っていったとのことでした。現在は定期的に糖化アルブミンの測定をしながら、インスリンや食事量の調節を行っています。
治療・術後経過
糖尿病はインスリンの不足や欠乏により高血糖が生じることにより、様々な代謝異常を引き起こす病態です。長期の高血糖が続くと、ケトン体の過剰産生によりケトアシドーシスとなり、命に関わることもあります。また、白内障や腎不全などの合併症が引き起こされることもあります。犬の糖尿病の原因としては膵島萎縮(原因不明)、クッシング症候群、未避妊雌における黄体期糖尿病、膵炎、医原性(ステロイドの長期投与など)などが挙げられます。治療としては、基礎疾患がある場合にはその治療に加えて、自宅におけるインスリン注射が必要となります。インスリンの投与量や投与頻度には個体差があり、食生活や体格などによって左右されるので、その子に合ったインスリン治療を計画しなければなりません。犬において糖尿病を発症した場合、基本的に生涯にわたるインスリン治療が必要となりますが、血糖値が良好にコントロールできた場合の予後は良好です。 本症例は、飼い主様が多飲多尿の症状を早期に発見されたため、合併症を引き起こすことなくスムーズに治療を開始することができました。