動物病院アニマルプラス
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2025.07.31

アジソン病

プロフィール

14歳 トイ・プードル 避妊雌

症状および経過

数週間前から食欲が低下、嘔吐や下痢などの消化器症状があり、ここ最近は震えがみられるようになったため来院されました。

来院時は意識ははっきりとしており、自力での起立が可能な状態でした。血液検査では低ナトリウム、高カリウムなどの電解質異常が見られました。これまでの経過と血液検査の結果からアジソン病の可能性を考慮し、ACTH刺激試験を実施したところ、コルチゾールの低値が認められたため、アジソン病と診断しました。その後、フルドロコルチゾンを処方したところ症状が改善、現在では定期的な血液検査を行うことで良好に過ごせています。

解説

【獣医師監修】犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)とは?原因・症状・治療法を徹底解説

犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)は、副腎ホルモンの不足によって全身のバランスが崩れる病気です。初期症状はあいまいで見逃されやすいですが、重症化すると命に関わります。本記事では、原因・症状・診断・治療・予後を獣医師がわかりやすく解説します。

犬のアジソン病とは?

アジソン病(Addison’s disease)は、副腎から分泌されるコルチゾールやアルドステロンといったホルモンが不足することで、体内の水分・電解質バランスやストレスへの適応能力が失われる病気です。

発症は若齢〜中年期の犬に多く、特に雌犬に多いとされています。

主な症状

  • 元気消失・倦怠感
  • 食欲不振・体重減少
  • 嘔吐や下痢
  • 震えやふらつき
  • 脱水、低体温
  • 発作的に倒れる(アジソンクリーゼ)

これらの症状は他の病気と似ているため、「何となく調子が悪い」状態が続く場合は注意が必要です。

原因とリスク因子

犬のアジソン病の主な原因は以下の通りです:

  • 自己免疫が副腎を攻撃して破壊する
  • 腫瘍や感染症による副腎の破壊などの可能性があげられますが、はっきりとした要因がないことがほとんどです。

診断方法

アジソン病は症状が非特異的なため、以下の検査が組み合わされます:

  • 血液検査:低ナトリウム、高カリウム、低血糖など
  • ACTH刺激試験:診断の決め手となる検査
  • エコー検査:副腎のサイズや構造を確認

特に低Na / 高K比(Na:K比の低下)はアジソン病を疑う重要な所見です。

しかし、非定型のアジソン病の場合は電解質の乱れは起きないため、見落とされがちな病気です。

治療法

アジソン病の治療は生涯にわたるホルモン補充療法が基本です。

  • 鉱質コルチコイドの補充(フルドロコルチゾンまたはDOCP注射)
  • 糖質コルチコイドの補充(プレドニゾロンなど)
  • 急性期(アジソンクリーゼ)では輸液・ステロイド点滴で緊急対応

適切な治療を行えば、アジソン病の犬も健康的な生活を送ることが可能ですが急性期は命にかかわることも多い怖い病気です。

予後と生活管理

治療を受けた犬の予後は良好で、平均寿命をまっとうできるケースも多いです。大切なのは以下の点です:

  • 定期的な血液検査による電解質バランスのチェック
  • ストレスや手術時にはステロイドの追加投与
  • 薬の飲み忘れを防ぐこと

よくある質問(Q&A)

Q:アジソン病は完治しますか?

A:残念ながら完治はしませんが、治療でほぼ通常通りの生活が可能です。

Q:どの犬種がなりやすいですか?

A:プードル、ビーグル、ボーダーコリーなどに多く見られますが、すべての犬種で発症の可能性があります。

Q:薬を一生続けないといけませんか?

A:はい。ホルモンの分泌が回復することはないため、生涯にわたる投薬が必要です。

まとめ

犬のアジソン病は早期診断と適切な治療で、健康寿命を大きく伸ばすことができます。倦怠感や食欲不振が続くときは、放置せずに動物病院で検査を受けましょう。

当院では内分泌疾患に力を入れた診療を行っております。気になる症状がある方はぜひご相談ください。

公開日:2025年7月31日 監修獣医師:松岡