2021.12.19
アンチエイジングとは
こんにちは。獣医師の清水です。
アンチエイジングと聞くと、
例えば、シミ、しわ、たるみ。。。あまり嬉しくない響きですが、こういった歳を重ねるうちに出てくるお肌の悩みの改善!などのイメージが初めに浮かぶのではないでしょうか。
もちろん、これも大事な一面です。私自身も正直一番気になる分野ではありますが、今回お話しするのは、なぜアンチエイジングが大事なのか、犬猫でもその重要性が浸透してきている理由についてです。
わんちゃんやねこちゃんは歳をとっても可愛い存在で、自分のペットならしみしわなんて関係ないし、人間に比べるとその一生は短く、アンチエイジングの必要性についてピンとこない部分があると思います。
まず、老化とは何か。加齢に伴う体の変化として臓器の機能が低下していくことを老化と言います。もっと、細かいところまで掘り下げると、老化は遺伝子の劣化という現象です。生存時間とともに私たち生物の体を設計している遺伝子には、様々な傷がついていきます。その積み重ねによって、遺伝子の働きが落ちてくる、あるいは遺伝子の制御不能が発生します。
特に、遺伝子の制御不能が原因となって引き起こされる病気で代表的なものは “ガン” です。アンチエイジングがなぜ重要かという理由については、遺伝子のダメージを減らすこと、そしてガンをはじめとしたさまざまな病気の発生をできるだけ抑制するというところは大きいと思います。
今の犬猫の代表的な死因についてご存知でしょうか。人と違って、死亡報告やその理由について厳密に義務づけられていないので、データの報告には多少の差はありますが、ある保険会社のデータによると、
犬の死亡原因
1位 ガン(約半数以上)
2位 心臓病
3位 腎不全
猫の死因
1位 ガン (1位と2位はほぼ同率)
2位 腎不全
3位 猫伝染性腹膜炎
犬猫いずれも死因の上位をガンが占めています。実際、動物病院に来られるガンの患者さんは8歳以上の高齢の子がほとんどです。
そして、人間社会でも高齢化、ご長寿の方が増えているのと同様に、犬猫の平均寿命も最近は少しずつ伸びてきており、17歳超えのわんちゃん、20歳超えのねこちゃんも見かけることも珍しく無くなってきました。
そんな中で、歳をとって病気のリスクが上がってくることは自然なことではありますが、最後までできるだけ健康に過ごしていくことは、どの飼い主さんも心から願っていることではないでしょうか。獣医師としても飼い主としても、長生きして欲しいという思いもありますが、動物の健康寿命をできるだけ伸ばすという観点からも老化と向き合うこと、そして病気になる確率を下げるアンチエイジングの考え方は非常に重要だと感じます。
アンチエイジングに関して、実際、人の医学でも様々な方法があります。
○生活療法・・・食事療法、運動療法、精神療法
○薬物療法・・・ホルモン補充、免疫強化
○サプリメント療法
○特殊療法・・・皮膚科、形成外科による医療、音楽、灸、ヨガ、アーユルヴェーダ、木レーション療法 etc…
日常での生活習慣に加えて、医療的な方法でのアンチエイジングなどその方法は多岐にわたります。
人の医学をもとに動物医療でもアンチエイジングの方法は日々見直されているところですが、その中でも動物病院でも気軽に取り入れていくことのできる方法を今後ご紹介していきたいと思います。
最後に、下に我が家のわんちゃんとねこちゃんの写真を載せてみました。わんちゃんの方はおじいちゃんになって立つことも難しくなってしまいましたが、毎日頑張って生きてくれています。1日でも元気にすごしてほしい限りです!