2014.06.18
ガンの一つである悪性リンパ腫について
獣医師の長澤です!
今回は飼い主様も聞いたことがある猫白血病や猫エイズと関連のある悪性リンパ腫についてご説明します!少し難しい言葉も出てきますが、お付き合い下さい!
悪性リンパ腫とは、全身のいたるところに存在しているリンパ組織がガン化した状態を言い、リンパ肉腫とも呼ばれます。 リンパ組織とは感染症や腫瘍の広がりから体を守る免疫作用をつかさどる組織であり、具体的にはリンパ節、扁桃腺、胸腺、骨髄、腸内のパイエル板などが含まれま多くは猫白血病ウイルス(FELV)の感染が原因と言われています。しかし、猫白血病ウイルスに感染していなくてもリンパ腫を発症することがあり、その原因はよくわかっていません。高齢化による免疫力の低下、猫免疫不全ウイルス(FIV)など種々のウイルスや細菌の感染、ストレス、発がん性物質の摂取、腸管の炎症などが複雑にからまって、リンパ球のがん化を促進するのでは、と考えられています。 猫の悪性リンパ腫の症状としては以下のようなものが挙げられます。
猫の悪性リンパ腫のタイプと主症状
①多中心型: 多中心型とは体表面のリンパ節(顎の下、胸、脇の下など)腫れるのが主症状です。あごの下のリンパ節腫脹に気付かれたり、元気がないなどで来院されることが多いです。
②消化器型: 消化器型はおなかや腸内のリンパ節(パイエル板)がガン化したタイプで、下痢や嘔吐などの症状が見られます。発症の平均年齢は8歳くらいといわれます。
③縦隔型: 縦隔型とは縦隔と呼ばれる左右の肺と胸椎、胸骨に囲まれた空間に発生したリンパ腫で、咳や呼吸困難などの症状が見られます。発症の平均年齢は2~3歳くらいといわれます。
④皮膚型 :皮膚型とは体表面に肉腫が現れた状態です。皮膚病とよく似た外観を呈しますが、基本的に肉眼だけで皮膚病とガンとを区別することはできません。
- この病気は残念ながら完治できるこの病気ではありません。しかし、治療してあげることにより、また、普段通りの生活に戻れる可能性が高いことも事実です。飼い主さんによっても考え方は色々で、「少しででも一緒にいられる時間が長くなるのであれば、できる限りの治療をお願いしたい。」「苦しむ時間を長くするのはしのびない。」などなど考えられることは様々です。