動物病院アニマルプラス
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2022.01.28

オリゴ糖の王様「ケストース」の秘めたる力

獣医師の古荘です。皆様、”ケストース”というものをご存じでしょうか?ケストースは、オリゴ糖の一種ですが、”オリゴ糖の王様”とも呼ばれ、タマネギやライ麦などの我々が日常的に摂取する野菜や果物にも微量含まれている「希少な」糖質です。ケストースは、砂糖によく似たまろやかな味質(甘味度:30)で、耐熱性にも優れることから食品加工時の利便性が高い食品素材ですが、経口摂取後は消化されることなく消化管下部へと輸送され腸内細菌により選択的に利用されるため、プレバイオティクス(腸内細菌を育てる働きをする)となり得る条件を備えています。

 

他のオリゴ糖は、いわゆる悪玉菌と呼ばれる体によくない菌のエサにもなり、悪玉菌も増殖してしまいますが、ケストースは、腸内を悪玉菌が活動できない環境に変え善玉菌のみを増やすという作用があります。

また、ケストース以外のオリゴ糖類は「酪酸菌」を増やすことができないのに対し、ケストースは「酪酸菌」を増殖させて腸内の酪酸濃度を上げる働きがあります。

 

この酪酸菌ですが、最近とても注目されていて、「健康長寿」と関係していると言われています。酪酸菌は腸内で短鎖脂肪酸というものを生成するのですが、免疫担当細胞に働きかけ炎症反応をおさめてくれる等、免疫機能に好影響を与えてくれ、全身に好影響を与えます。逆に短鎖脂肪酸が減少すると、免疫機能に不具合が生じてしまいます。

(腸は最大の免疫器官と言われ、免疫に関わる細胞や抗体全体の約60%が腸に存在し、皮膚や脳といった消化器とは直接関連がなさそうな遠くは離れた臓器にも様々な影響を及ぼすことが近年わかってきています。ヒトでは全身の免疫力やアンチエイジング、(消化管とは関連のない)臓器の腫瘍や、認知症、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などといった様々な全身の病気と腸内細菌叢が関連していることがわかってきています。)

 

では酪酸菌を摂取すればいいかというとそういうわけではなく、食事やサプリメントなどから取り入れた乳酸菌は「通過菌」と呼ばれ、定着することが出来ず、「数日で排出される」と言われています。ですので、単にいい菌を摂取するだけではなく、体の中でいい菌を増やすことが大切と言われています。

 

このような理由から、ケストースを摂取することで、ヒトでは体にとって様々な効果が期待できると最近注目を集めています。

 

具体的には。。。

・アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎の改善
(約70%の試験ボランティアがアレルギー症状の改善を実感)

・インスリン抵抗性の悪化を予防(つまり糖尿病の予防)
ケストースは、人間や犬の消化酵素(スクラーゼ)で分解されないずに大腸に届くので、吸収されず甘いのに摂取後も血糖値はほとんど上昇しません。
インスリン抵抗性の改善効果に関する成果は 国際科学雑誌Nutrientsにも掲載されています。

・太りにくい体を作る

・肌の保水力アップ

・アンチエイジング

・感染症に対する抵抗力の向上

など、様々な効果があります。

希少糖で非常に高価(良く知られる甘味料の100倍近く高価)ですので、お砂糖の代わりに使うのは難しいですが、サプリメントとして含まれる商品がヒトでも多くでています。

 

当院でも活用していく予定ですので、興味のある方はご相談ください。