2017.03.08
ランニングと跛行
獣医師の古荘です。3月になり少し寒さも和らいできたでしょうか。多少過ごしやすくなりましたが、寒暖差が激しい時期ですので、体調管理には十分お気をつけください。
最近、アニマルプラス獣医の中ではマラソンが流行っているようで…先日も駅伝に出場しました(僕と長澤先生は、普段通り診察してましたが)。
昔からマラソンは苦手なのですが、院長の指導の下、最近軽く(と言っても個人的には超本気でフラフラですが^^; )ランニングを始めてみました。
まずは30分くらい走ることから…本当に体力ないので最初は絶対無理だと思いましたが、やってみるとなんとかなるもので、ゆっくりですが少しづつ距離を伸ばしてみてます。今は筋肉痛との闘いですが、来年は駅伝出れるように継続できればと思います。
筋肉痛ということで、今回はワンちゃんの歩き方の異常についてお話します。歩き方がおかしい=跛行(はこう)のは、何かのきっかけで起こることもありますし、突然起こることもありますが原因としては、大きく別けると以下のようになります。
【跛行の原因】
①筋肉や骨格の疼痛によるもの
痛い場所にもよりますが、体重負荷を避けるために痛い足を挙げるようになったり、痛い足の歩幅の減少が見られます。肩など比較的上の方の痛みではひきずるような感じになることもあります。
外傷や骨折、筋肉や靭帯(じんたい)の損傷、関節炎などが考えられます。
②機械的な跛行
先天的や成長不良、後天的な理由により、骨や靭帯、腱、関節などの長さや角度に異常があるため起こるものです。
股関節形成不全、成長板早期閉鎖など先天的なもの、股関節脱臼や膝蓋骨脱臼など後天的なものがあります(こういったものが起こりやすい素因として先天的な股関節形成不全や膝関節周りの異常がありますが)。
③神経的な問題
基本的に脳からの”足を動かせ”という信号は、脊髄を通り末梢神経に伝わり足が動きます。
逆に例えば、”何かを踏んだ”という刺激は末梢神経から脊髄を通って脳に伝わり”痛い”と認識します。
(脊髄反射という脳を介さない動きもありますが、本題から逸れるので割愛します)
この経路のどこかに異常があると足がふらつく、立てない、悪化すると痛覚など感覚が全くないとなります。
脊髄で信号を遮断する疾患として、椎間板ヘルニアや、背骨の骨折などがあります。
頭からの信号がどこかで遮断されるため、その部位以降は異常となります。例えば頚部に異常があれば、それより後ろ、つまり前後肢ともに異常が見られます。同様に腰の辺りに問題があれば後肢は異常がでますが前肢は何の異常もありません。また、基本的に左右両方に異常がでますが、多少の左右差はあるので、軽度の場合は片方だけ異常が見られることもあります。
末梢神経神経の疾患の場合にはその肢だけの問題となります。例えば右前肢だけ完全に麻痺で他はなんともない場合などです。事故や外傷による神経損傷が多い原因です。
④内分泌疾患に続発
稀ですが、副腎皮質機能亢進症や糖尿病で筋異常が見られることもあります。
⑤明らかな外傷
意外と気付かない原因として、足裏に何か刺さっていたり、パットが傷付いている、爪が伸びて刺さって痛い、爪が折れたなどがあります。
筋肉や靭帯などの異常では、はっきりした原因がわからないことも多く、スッキリしないことも多いかもしれませんが、炎症を抑える薬などで早期にワンちゃんの苦痛を和らげてあげられます。
様子を見ていいのかどうか、個人での判断はなかなか難しいことも多いので、ご心配な場合は早めの受診をオススメします。
3月になりフィラリアの検査の時期になってきました。フィラリア検査と合わせて健康診断もオススメしています。健康なかたは特に普段あまり採血をする機会はないと思いますので、年に一回のこの機会に是非合わせて健康チェックをしましょう。
例年、この時期は大変混み合いお待たせする時間も長くなってしまいがちで大変ご迷惑をお掛けし申し訳ありません。できるだけお待たせしないよう努めていきますので、ご理解の程よろしくお願いします。
最後に、最近全然乗ってないのですが以前やっていた乗馬の中でマラソン的な競技、クロスカントリーの写真です(正確にもっとマラソン的なエンデュランスという競技もありますが…)。野外の固定障害を跳んで行くのですがとても危険な競技なので…馬術競技については長くなるのでまたの機会に☆