2014.03.05
再生医療学会を終えて
こんにちは!獣医師の山口です。
先週、大阪で獣医再生医療学会がありました。
ようやく再生医療分野、細胞免疫療法分野も発展して、人の医療の応用から犬猫の病気へと可能な治療法が増えつつあります。
再生医療分野としては、すっかり脊髄疾患治療の選択肢の一つとなった脂肪幹細胞ですが、それ以外の疾患でも応用が可能なことが分かってきました。その中で興味を引いたのは慢性腎不全です。慢性腎不全は犬猫では完治が出来ない病気として、今までは対処療法の点滴や食事療法などしか選択肢がありませんでした。しかし、脂肪幹細胞を用いることにより腎機能の改善が有意に認められたとの報告があり、点滴の回数も減らすことが出来たようです。もし可逆的に治療することが出来るのであれば今までの腎臓病治療は大きく変わることでしょう。
活性化リンパ球療法は、主にガンと闘う患者さんで用いられていますが、外科手術が困難な場合や再発予防、抗がん剤や放射線治療との併用でも用いることが出来ます。今まではどうしても抗がん剤や放射線治療と違って、治療の効果判定が困難な治療であるためどんな時に治療に取り入れるかが悩むところでありました。しかし、今回の年次大会では多くの症例数が集まり、活性化リンパ球療法単独でも腫瘍の増殖を抑え、効果が見られたとの症例が数多く紹介されていました。あまりに高齢でなかなか外科や抗癌治療に踏み込めない時や、副作用が出ない治療を希望された場合などにはぜひその子に取り入れて欲しい治療のひとつです。
免疫療法及び再生医療はその子その子で治療計画が全く違います。ガンで悩んでいる子、再生医療に興味がある患者さんがいましたらいつでも気軽にご相談下さい。
明日からまた寒くなるみたいです。くれぐれも体調管理にをお気をつけくださいね。