2014.06.18
子宮蓄膿症について
こんにちは獣医師の中川です。今回はみなさんに子宮蓄膿症という病気を紹介します。
これは子宮に膿が貯まってしまう病気で、未出産の子や6歳以上の子で多くみられます。進行すると命にも関わる非常に怖い病気です。
本来子宮内は細菌感染を起こしにくいとされていますが、発情期にはプロゲステロンというホルモンが分泌されることで細菌感染に対する防御能が下がり、外陰部からの細菌感染から子宮内に膿が貯留してしまいます。
症状としては食欲不振、元気消失、多飲多尿、嘔吐、外陰部からの排膿などがみられます。しかし子宮の状態によっては排膿がみられない場合もあります。これは子宮頸管が閉塞することにより排膿されない状況で、一般に排膿がみられる状況より状態は悪いとされています。病態が進行すると、細菌の毒素により腎不全や播種性血管内凝固などを引き起こし死亡してしまう例もあります。
診断は血液検査、レントゲン検査、エコー検査などから総合的に判断します。血液検査では腎数値やCRPという項目の上昇がみられます。レントゲン検査やエコー検査では拡張した子宮を確認することができます。
治療としては外科手術と内科治療があります。外科手術としては子宮卵巣の全摘出をおこないます。
基本的な治療としては外科手術が第一選択となります。
内科治療としてはプロスタグランジンという薬が主に使われます。効果としては子宮の筋肉を収縮させることで排膿させ、この病気の原因とされるホルモンの分泌を抑え、子宮内の感染を抑えることで治療していきます。しかし内科治療は時間がかかり、また一度治っても再発してしまう可能性もあります。
このように命にも関わる大変な病気ですが、予防することも可能です。避妊手術をしていればこの病気にかかることはありません。ですので、まだ避妊をしておらず、今後子供を産ませる予定がないのであれば、一度避妊手術を考えてみてはどうでしょうか?