2014.08.15
猫の歯肉口内炎について
こんにちは獣医師の中川です。今回は猫ちゃんの歯肉口内炎についてお話させていただきます。
歯肉炎と聞くとあまりたいした病気と思われないかもしれませんが、進行するとご飯が食べられなくなることもあります。
猫の歯肉口内炎は口腔粘膜の慢性炎症疾患で、症状は程度により様々ですが、主に口腔粘膜の発赤、潰瘍などがみられ、流涎、痛みによる食欲低下などがみられます。
原因は口腔内細菌やウイルスの関与、免疫反応の異常などが考えられていますが、はっきりとした原因はまだ分かっていません。
治療としては内科療法、外科療法、またはその両方を併用していきます。
内科療法は抗菌薬、ステロイド、免疫抑制剤、消炎鎮痛薬を主に用います。最も効果的なのはステロイドとされていますが、完治は難しく、投薬をやめると再発する可能性が高いとされています。そのため内科療法は基本的には外科療法との併用がすすめられています。
外科療法のひとつは口腔内清掃(スケーリング)です。これを行うことである程度の改善がみられます。しかし家での歯磨きができないと比較的早く再発してしまうこともあります。
もうひとつの外科治療は抜歯です。論文では8割の猫が良好な治療反応を示してくれたという報告があります。現在ではもっとも効果的な治療法とされています。また内科療法と併用することで予後も良好とされるため、できれば抜歯のあとに内科療法をしていくのがベストな治療とされています。
もし猫ちゃんがご飯を食べるときに口をきにする、食欲がない、ご飯を食べたときに奇声をあげるなどがみられたら、もしかしたら口内炎になってしまっているかもしれませんので、そのような症状がみられれば早めにご来院下さい。人も猫もいつまでもおいしくご飯が食べれるのが一番ですね!