甲状腺機能低下症と鳩間島

獣医師の古荘です。   突然ですが、甲状腺機能低下症という病気をご存知ですか？比較的高齢のワンちゃんに多い病気（ちなみに猫ちゃんには稀で、逆に甲状腺の機能が活発になりすぎる甲状腺機能亢進症が多いです）で、治療で通院中の方も多くいらっしゃいますが、今回は甲状腺機能低下についてご紹介します。   甲状腺ホルモンは、エネルギー、タンパク、ビタミン、脂質代謝などに関わる動物の生命活動に必要なホルモンです。 甲状腺機能低下症は、このホルモンの分泌が少なくなる病気で、身体への影響が大きいため、様々な症状があらわれます。 教科書的には、元気がない、太りやすい、皮膚が悪い、被毛が薄い・粗いなどといった症状ですが、特異的な症状があまりありません。 また、はっきりとした症状がなく「年のせいだろう」と思っていた変化が実は甲状腺のせいだったということがよくありますし、放っておくと他の病気が重症化したり、発作や麻痺、衰弱して命に関わることもある病気です。   原因は、自己免疫性の甲状腺炎（自分の免疫が異常に反応してしまい、甲状腺組織を破壊してしまう）により組織が破壊されるためホルモンが出せなくなるためと言われていますが、まだわからない点も多く、根本的な予防や治療はありません。 ですので、甲状腺機能低下症の治療は、少なくなったホルモンを投薬で補うことで行います。   治療を開始して甲状腺ホルモンが安定した方からは、毛並みや皮膚が良くなった、元気に（活発に）なった、食欲が安定したなど、慢性的な悩みが解決されたり、単に年のせいだと思っていたことが改善して若返ったようだと喜びの声を頂くことも多いです。   外見や一般的に健診で行う血液検査などでは変化がわかりにくいため、獣医療先進国と言われる欧米などでは、特に高齢のワンちゃんは定期健診的に甲状腺ホルモンの検査をするべきと言われています。 血液検査だけで診断できるので、ワンちゃんの負担は少ないのですが、甲状腺ホルモンの測定は院外の検査機関に依頼して行うため検査費用が高めなことから、普段は健診の一環としてはなかなかオススメできないのが現状です。   只今、12月11日までの期間限定で、検査機関と協力して秋の健康診断キャンペーンを実施中です。   今回お話した甲状腺ホルモンの入ったコースもあり、普段に比べてかなりお得に検査できます。 この健診キャンペーンは3回目ですが、毎年、全く疑いもしない子が甲状腺機能低下症だったと判明することが複数あり、診断の難しさを改めて感じます。   この機会に是非、健康診断を受けましょう。   最後に、近況報告を…先日、連休を頂きましたので、沖縄の鳩間島に行ってきました。 昔、竹野内豊さんが出ている「瑠璃の島」というドラマや、コブクロの「ここにしか咲かない花」という歌の舞台になった島で、石垣島から船で40分くらいでいけます。 人口60人くらいで周囲4kmほどのとても小さな島ですが、リゾート化されていない長閑でめちゃくちゃ綺麗な海がある島です。 定期船はあるのですが、欠航が多く（今回も、行く前日まで2週間船が欠航してました）実は今まで何回も行こうと宿を予約してたのですがたどり着けず、今回が初めての上陸でした。   何があるの？ってよく聞かれますが、"「何もない」がある"という言葉がピッタリのところです。 書き出すとキリがないのでまたの機会に…   写真だけご紹介します。