2026.10.21
犬の腎臓病シリーズ 第6回
検査結果の読み方と、見逃したくない「貧血」のサイン
数値の上昇は、必ずしも慢性腎臓病の進行だけを意味するわけではありません。原因を調べることが大切です。1数値が上がったら、すぐに進行と判断する?
クレアチニンやSDMAが上昇していた場合、腎機能の低下が考えられます。しかし、一度の検査結果だけで慢性腎臓病の進行と決めつけることはできません。
- 脱水などによる腎臓への血流の変化
- 急性腎障害など、新たに起きた問題
- 併発疾患や薬剤の影響
- 検査条件や個体差による変動
急激な悪化がある場合は、慢性腎臓病の進行だけでなく、急性腎障害などが重なっていないかを確認する必要があります。
2腎臓病と貧血の関係
腎臓は、赤血球の産生を促すホルモン「エリスロポエチン」に関わっています。慢性腎臓病が進行すると、この働きが低下し、貧血が起こることがあります。
貧血になると、全身に酸素を運ぶ能力が低下し、元気や活動性の低下、疲れやすさなどにつながります。
- 歯ぐきが白っぽい
- 以前より疲れやすい
- 散歩や運動を嫌がる
- 元気がなく、呼吸が速い
これらは貧血以外の病気でも見られます。急な変化や強い症状がある場合は、速やかに受診してください。
32026年版で注目したい貧血の治療基準
2026年版のIRIS犬用治療推奨では、腎臓病に関連する貧血について、治療を検討するヘマトクリット値(HCT)の目安が明確化されました。
| HCTの目安 | 考え方 |
|---|---|
| 30%未満 | 貧血の治療を検討する |
| 30〜35% | 貧血が持続する場合、治療を検討する |
※HCTだけで治療が自動的に決まるわけではありません。症状、貧血の原因、全身状態などを踏まえて獣医師が判断します。
4貧血はすべて腎臓が原因?
腎臓病の犬に貧血が見つかっても、原因が必ず腎臓にあるとは限りません。
出血、赤血球の破壊、炎症、感染症、栄養上の問題、骨髄の病気などが関係することもあります。
- 血球計算:HCT、ヘモグロビン、赤血球数
- 網状赤血球:赤血球をつくる反応の評価
- 血液塗抹検査:赤血球の形態などの確認
- 必要に応じて出血、溶血、感染症などの検査
原因や重症度に応じて、造血を促す薬剤や輸血などを検討する場合があります。
5腎臓病の管理で大切なこと
- クレアチニンやSDMAを前回の結果と比較する
- リン、貧血、尿蛋白、血圧も確認する
- 食欲、飲水量、尿量、体重の変化を記録する
- 異常があれば原因を調べ、必要な管理を見直す
- 次回の検査時期や家庭での注意点を確認する
参考:IRIS公式「2026 IRIS Treatment Recommendations for CKD in Dogs」。貧血の診断・治療は、原因や個々の状態に応じて獣医師が判断します。