2026.10.16
犬の腎臓病シリーズ 第1回
犬の腎臓病ガイドラインが改訂!ステージ2の範囲が広がった理由とは?
「腎臓病のステージは、血液検査の数値だけで決まる」
実は、犬の慢性腎臓病(CKD)の評価では、クレアチニンやSDMAだけでなく、尿蛋白や血圧なども重要です。
国際的な獣医腎臓病の指針であるIRISの2026年版では、犬のステージ分類の一部が見直されました。今回は、その変更点と飼い主さんに知っておいてほしいことを解説します。
1.そもそもIRISステージとは?
IRISは、犬や猫の腎臓病を評価し、治療や経過観察に役立てるための国際的な指針です。
慢性腎臓病と診断された動物について、腎機能の低下度をステージ1〜4に分類します。一般に、ステージの数字が大きいほど腎機能の低下が進んでいます。
ただし、ステージ分類は、脱水などの影響を除き、状態が安定した慢性腎臓病の犬に適用するものです。急激に数値が悪化している場合は、まずその原因を調べる必要があります。
2.2026年版で何が変わった?
犬では、血中クレアチニン値によるステージ2の範囲が拡大され、ステージ3の範囲が狭くなりました。
| ステージ | 血中クレアチニン値の目安 |
|---|---|
| ステージ1 | 1.4 mg/dL未満 |
| ステージ2 | 1.4〜2.8 mg/dL |
| ステージ3 | 2.9〜5.0 mg/dL |
| ステージ4 | 5.0 mg/dLを超える |
※犬のクレアチニン値によるステージ分類の目安です。体格や筋肉量などの影響を受けるため、数値だけで判断することはできません。
3.なぜステージ2の範囲が広がったの?
以前のステージ3には、症状がほとんどない犬から、全身症状が強く、積極的な管理が必要な犬まで、幅広い状態が含まれていました。
そこで、比較的軽度の腎機能低下がある犬をステージ2に分類できるようにし、ステージごとの臨床状態のばらつきを小さくするために見直されました。
ステージの数字が変わっても、腎臓そのものが改善したという意味ではありません。分類基準が変わったことと、実際の病状の変化は区別して考えましょう。
4.ステージの数字だけでは不十分
IRISでは、ステージ分類に加えて、尿蛋白と血圧による評価も推奨しています。
- 血液検査:クレアチニン、SDMA、リン、貧血の有無など
- 尿検査:尿比重、尿蛋白、尿蛋白/クレアチニン比(UPC)など
- 血圧測定:高血圧による臓器障害のリスク
- 身体検査:体重、脱水、食欲、嘔吐などの症状
これらを組み合わせることで、その犬に必要な治療や検査の間隔を検討します。
🏠 飼い主さんができること
- 健診や診察の検査結果を保管する
- 食欲、飲水量、尿量、体重の変化を記録する
- 前回の数値と比べて、どの項目が変化したかを確認する
- 次の検査時期や家庭での注意点を獣医師に相談する
「クレアチニンが正常なら腎臓は大丈夫?」
クレアチニンとSDMAの違い、筋肉量が検査結果に与える影響について解説します。
参考:IRIS公式「IRIS Staging of CKD(2026年版)」
